PFOA対応PTFEパウダー
PFOA対応PTFE分散体
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PTFE① |
PTFE② |
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乳化重合型 |
懸濁重合型 |
PFOA |
25ppb未満 |
25ppb未満 |
分散体1次粒子径 |
0.35μm |
3.5μm |
水 |
50%分散体 |
50%分散体 |
IPA |
50%分散体 |
50%分散体 |
トルエン |
50%分散体 |
50%分散体 |
MEK |
50%分散体 |
50%分散体 |
酢酸ブチル |
50%分散体 |
50%分散体 |
NMP |
50%分散体 |
50%分散体 |
*その他の溶媒、分散濃度も対応可能です。御照会下さい。
PTFEの効果
耐摩耗性
PTFEは最も低い動摩擦係数(0.1)を示し、摩擦による劣化や精度の低下を防ぎます。
非粘着性(撥水・撥油性)
PTFEは他の樹脂に比べ接触角が非常に大きく、濡れにくい性質を示します。
コーティングすることで水や油をはじき、付着を防ぎます。
水に対する接触角:114度
水との接着エネルギー:43×10-3N/m
撥水・撥油性コーティング剤に使用されます。
当社の分散体調製・粉体表面処理・粒度制御技術は、PTFE固有の撥水・撥油特性に加え、防汚の観点から対象の表面にロータス効果やメニスカス効果を求める際にもお役に立てる可能性があると考えております。
耐候性
PTFEは最も耐候性の優れた樹脂で、20年相当の耐候性促進試験でも変化が起きないことが確認されています。
屋外塗料にはPTFEの不燃性、非粘着性、透光性の特徴も含めて活用されています。
耐薬品性
PTFEの不活性を応用して耐酸、耐アルカリ、耐有機溶剤を付与できます。
耐熱性(不燃性)
PTFEの連続使用可能温度は260℃で耐熱塗料に使用できます。
難燃性試験では不燃の扱いです。
絶縁性(低誘電率・低誘電正接)
PTFEは高い絶縁性を有し、その他の物性を含めて電気絶縁材料として広く使用されています。
近年5G対応で高周波領域で伝送損失を低減するため応用が検討されています。
高周波による高速通信に用いられる半導体・電子部品・基地局アンテナにはそれらに対応するノイズ対策材料がこれまで以上に求められ、解決手法の一つとしてPTFEにも注目が集まっています。
分散体調製や粉体表面処理、粒度制御などの当社技術は、エポキシ封止剤に代表される絶縁樹脂、高密度な積層回路基板、FAN OUT構造を含む実装パッケージ、ダイボンドをはじめとする絶縁ペーストなどにPTFEを添加する際の課題解決に寄与できるものと考えております。
PFOA規制について
改正POPs規制でPTFEパウダーにPFOAが存在する場合、0.025mg/kg(25ppb)未満の濃度での閾値管理となります。
EUにおいてはすでに2020年7月にREACH規制ANNEX XVIIにあったPFOA関連物質の規制がPOPs規則へ移行されました。
日本では改正化審法において、2021年4月以降に交付、10月以降に施行予定となっております。
当社扱いPTFEにつきましては、PFOA除去処理を行い25ppb未満(実質10ppb未満)となっております。
PTFEパウダーについて
PTFEパウダーは製造方法の違いから以下の4点に分類されます。
PTFEパウダーは一般的には加熱成型加工によるPTFE部品の製造に使用されています。
1.乳化重合型PTFEパウダー
乳化重合で製造したPTFEを乾燥・粉砕したものです。
乳化重合法の場合、分子量が小さいため、一次粒子200~300nmの粒子になります。
濾過・乾燥によって凝集二次粒子は数μmの粉体となります。
分子量が小さいため柔らかく伸びがあり、シールテープなどに使用されます。
乳化重合型PTFEのPFOA含有率は、閾値25ppbをはるかに下回る水準で管理しております。
2.懸濁重合型PTFEパウダー
2-1.電子線照射法粉砕
懸濁重合で製造したPTFEに、電子線照射を行いポリマー鎖を切断後、粉砕して製造したものです。
粒子径:数μm~数十μm 電子線照射時にPFOAが発生しますが、加熱して除去します。
硬く、摺動性があります。
2-2.熱分解法粉砕
懸濁重合で製造したPTFEに、加熱することでポリマー鎖を切断後、粉砕したものです。
粒子径:数μm~数十μm PFOAは発生しません。
硬く、摺動性があります。
3.リサイクルPTFEパウダー
PTFE成型加工時に発生する端材を材料に、強力な電子線照射を行いポリマー鎖を切断後、粉砕したものです。
粒子径:数μm~数十μm 電子線照射時にPFOAが発生しますが、加熱して除去します。
成型時に焼しめられているため、硬く、摺動性があります。
PFOAについて
PTFEに電子線を照射してポリマー鎖を切断した後、粉砕してPTFEパウダーを製造する場合、ポリマー鎖を切断する際に炭素数8個のものも生成され、空気中の酸素と反応しPerFluoroOctanoicAcid(PFOA)となります。
ストックホルム条約でPFOAは厳しく規制され、含有量は25ppb未満に制限されています。
PFOAは加熱処理によって除去され、25ppb未満にすることができます。
PFOA除去後、所定の粒子径に粉砕され、PTFEパウダーとなります。